南国地域の新しいジャンルとして注目されてきたパラセーリングを初めて私が知ったのは、ある旅行の雑誌でした。ボートに乗って沖合いまで行って、そこから海上のパラシュートを楽しむものです。海風をたくさん受けながらの上空飛行は、ものすごく気持ちのよいことだと思いました。鳥になった気分が味わえるため、今後ますます話題になっていくことでしょう。ダイビングなどをやったことがある人たちがこちらに移行してきそうですね。パラセーリングはいろいろなタイプがあって、ニーズに応じて選択できるようになっています。大空を空中遊泳する快感は、生涯忘れることができないことでしょう。レベルによって、空中までの高さがある程度調節されるようなので、誰でも気軽に参加できるのがうれしい点でもあります。一回の利用料が若干高めではありますが、この機会にぜひ体験してみましょう。パラセーリングの話題を提供できる人は、少ないと思いますよ。トライしてみてください。
富士フイルムFinePixシリーズの最上位機として「FinePix X100」が登場した。同社は、2007年にデジタル一眼レフ「FinePix S5 Pro」を発売して以来、プロやハイアマチュア向けのデジカメから遠ざかっていたが、今回、久々に力のこもったハイエンド製品を投入した。
【写真:「FinePix X100」で撮影した作例の紹介】
外観を見て分かるように、FinePix X100は一眼レフではない。レンズ交換もできない。デザインの雰囲気からは、M型ライカなどのレンジファインダーカメラをほうふつとさせるが、レンジファインダー(光学視差式距離計)は備わっていないので、その呼び方は当てはまらない。ジャンル分けするならコンパクトデジカメの部類に入るが、撮像素子には多くの一眼レフのセンサーと同等となる、APS-Cサイズの大きなCMOSを搭載する。
ボディは、天面と底面をマグネシウムダイキャストで覆った頑丈な造りだ。適度な重みがあり、金属のパーツがぎっしりと詰まったような凝縮感が手に伝わる。オーバーに言えば、外観には高級な道具としての存在感が漂い、手に取っただけで、いい写真が撮れるような錯覚に陥る。
そして、電源を入れてファインダーをのぞくと、従来の一眼レフ機とも、コンパクトデジカメともまったく異なる、ファインダーのクリアな見え方と、斬新な情報表示に驚かされる。写る範囲を示すブライトフレームやAFエリア、および絞りやシャッター速度などの撮影情報がスーパーインポーズとして、光学像に重なった状態で表示されるのだ。
この光学ファインダーの表示は、液晶ライブビュー表示とは違って、表示にタイムラグがなく、動きのあるシーンをとらえるのに有利になる。と同時に、フレームや各種に情報表示には液晶を利用している。昔ながらのレンジファインダー機の採光式ブライトフレームの構造に似ているが、採光ではなく自ら発光する液晶なので、スーパーインポーズも鮮明に表示できるというわけだ。これまでにない新しい仕掛けといっていい。電子水準器やヒストグラム、格子線を重ねて表示することもできる。
さらにユニークなのは、前面のレバーを倒すと、光学ファインダー(OVF)の表示が、一瞬にして電子ビューファインダー(EVF)の表示に切り替わること。また、光学ファインダーで撮影した直後には、アフタービューとして、自動的に電子ビューファインダーの表示が見られる。この光学式と電子式がシームレスに融合したファインダーは「ハイブリッドビューファインダー」と呼ばれ、FinePix X100のいちばんの特徴になっている。
光学ファインダーが役立つのは、写る範囲外も含めた広い視野を見ながら撮影したり、被写体の動きをリアルタイムで確認しながら連続的に撮りたい場合だ。一方、電子ビューファインダーが役立つのは、ピントやボケの状態、露出、ホワイトバランスなどを目で確認しながら撮影したり、100%表示によって正確なフレーミングをしたい場合だ。シーンや狙いに応じて、この2つの表示を切り替えながら撮影できる。
また、光学式/電子式ファインダーではなく、背面の液晶モニタ(LCD)にライブビューを表示し、一般的なコンパクトデジカメと同じようなスタイルで撮ることももちろん可能だ。
●マクロにも対応した大口径フジノン
もうひとつの大きな特長は、開放値F2の明るい単焦点レンズを搭載したこと。レンズ構成は、両面非球面レンズ1枚を含む6群8枚で、電源を入れてもレンズ部が飛び出さない非沈胴タイプとなる。撮影時でも薄型形状のままなので、ボディの取り回しは良好だ。
35ミリ換算の焦点距離は35ミリ相当となる。広すぎず狭すぎない焦点距離であり、スナップから風景、人物、旅行用まで幅広い用途に役立つ。ズームレンズではなく単焦点レンズを、レンズ交換式ではなくレンズ固定式を採用したのは、小型軽量と描写性能の両方を重視したためだろう。レンズと撮像素子のマッチングを考慮しながら画質を設計できるのは、レンズ固定式ならではのメリットといっていい。
実際の撮影では、遠景の細部までをくっきりと表現できる解像感の高さを確認できた。周辺部の画質低下もほとんど気にならない。9枚の絞り羽根によって、少し絞った場合でもきれないボケを生み出せることや、レンズの先端から10センチの距離まで近づけることも、このレンズの魅力だ。
注意したいのは、開放値のF2でマクロ撮影をすると、全体がにじんだソフトな描写になること。雰囲気のある面白い表現ともいえるが、シャープなマクロ撮影がしたい場合には、F4まで絞り込むようにしたい。風景など遠景の描写については、開放値でも十分にシャープといえる。
●ダイヤルによるアナログ感覚の操作系
撮影モードは、プログラムAE、絞り優先AE、シャッター優先AE、マニュアル露出に対応する。絞りリングとシャッタースピードダイヤルの両方を「A」の位置にセットした場合はプログラムAEになり、どちらかを「A」以外の位置にずらすと絞り優先AE、またはシャッター優先AEになる。
絞り値はレンズ部のリング操作で、シャッター速度は天面のダイヤル操作でそれぞれ切り替える。どちらも1EVステップでの切り替えだが、マニュアル露出モードの際は、背面のコマンドレバーによって絞り値を、コマンドダイヤルによってシャッター速度を、それぞれ1/3EVステップで微調整することもできる。
シャッターは、一眼レフのようなフォーカルプレーン式ではなく、レンズシャッター式となる。シャッター音は非常に小さく、レリーズ時の振動もほとんどない。本機は手ブレ補正機構を搭載していないが、慎重にシャッターを押せば1/15秒や1/8秒を手持ちでブレさせずに撮ることも可能だ。また、すべてのシャッター速度でストロボが同調することは、レンズシャッターの利点といえる。
●ワンプッシュAFやNDフィルターを搭載
AFは、コンパクトデジカメで標準的なコントラスト検出方式を採用する。AFスピードはまずまず速く、スナップなどの一般用途では大きなストレスは感じない。フォーカスモードは、シングルAF(AF-S)、コンティニュアスAF(AF-C)、マニュアルフォーカス(MF)の3モードから選択でき、AFエリアは49点に対応。背面のAFボタンを押しながら十字キーを押すことで、AFエリアの選択ができる。
マニュアルフォーカスを選んだ場合は、鏡胴部のフォーカスリングを回してピント合わせを行う。リングの感触がゆるく、操作感が悪いのは残念なところ。そのかわり、MFの際に、AFL/AELボタンを押してAFを一時的に作動させるワンプッシュAF機能は便利だ。コマンドレバーによるEVF/LCDの拡大表示機能と合わせて利用することで、マニュアルフォーカスの使い勝手を高めることができる。
またマニュアルフォーカスの際に、選択中の絞り値に応じた被写界深度の範囲を、OVFやEVF/LCDに表示することもできる。置きピンによるスナップ撮影などで役立つだろう。
そのほかには、3段分の光量を下げるNDフィルターや、カメラの傾きを知らせる電子水準器、カメラを動かすだけで撮影可能なパノラマモード、1280×720ピクセルのHD動画機能、シャッター音やAF補助光などを一括オフにできるマナーモードなどの機能を搭載する。
気になったのは、メニュー回りの操作性だ。メニュー構成のカスタマイズができず、使いたい項目を素早く呼び出せない点はもどかしい。例えばNDフィルターを設定するにはボタンを10回も押す必要がある。ボタン類についても、割り当て機能の変更ができるのはFnボタンのみ、というのがもの足りない。また、マクロモードやブラケティング機能を利用する際、撮影モードから再生モードに切り替えるたびに、マクロやブラケティングがリセットされる仕様には疑問が残る。
レスポンスについてはJPEG撮影では大きな不満はないが、RAWやJPEG+RAWを使うと、画像の書き込みに少々待たされる。例えば画像3枚の書き込みにかかる時間は、JPEGのFINEで約3.8秒、RAWで約7秒、FINE+RAWで約10秒となる(スピードクラス10のSDHCカードを使用した際の実測値)。書き込み中にさらに続けて撮ることは可能だが、各種の設定を変更することはできない。
●充実したカメラ内RAW現像機能
撮像素子には、APS-Cフィルムサイズの有効1230万画素CMOSを採用する。感度はISO200〜6400の範囲を1/3EVステップで選択でき、拡張モードとしてISO100とISO12800も選べる。高感度ノイズは目立たないように処理され、ISO800や1600でも実用的といっていい。
画質の傾向をカスタマイズする機能としては、フィルムシミュレーションモードがある。「PROVIA」や「Velvia」「ASTIA」といったフィルムの名称を選ぶことで、そのフィルムに近い色再現を得られる機能だ。モノクロでは、コントラストを高める「Yeフィルター」や「Rフィルター」「Gフィルター」も利用できる。また、シャドウとハイライトのそれぞれのトーンや、色の濃さ、シャープネスなどを細かく調整することも可能だ。
これらの画質調整機能はパラメータの選択肢が非常に豊富なので、じっくりと使い込んで自分の好きな設定の組み合わせを見つけるようにしたい。とりあえずRAWで撮影し、カメラ内RAW現像機能によって、各種の画質設定やフィルムシミュレーションを後から変更してJPEG出力することも可能だ。
FinePix X100は、近ごろ軽視されがちだった光学ファインダーに着目し、ファインダーをのぞいて撮ることにこだわった新しいデジカメだ。個人的にはメニュー回りなどにいくつかの不満が残るが、ハイブリッドビューファインダーという新しい撮影スタイルには、ほかでは味わえない興奮を覚えた。デザインの個性も含め、愛着を持って使えるカメラだと思う。
(デジカメプラス)
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